2026.08.12 大阪・豊中市の認可保育所での事故について思うこと

 2025年7月に大阪府豊中市の認可保育所で9か月の男児が保育中に転倒して頭を打ち、一時意識不明となる事故が起きていた、というニュースを目にしました。このニュースを見ていろいろと思うところがあったのでここに書こうと思います。

 状況としては、ベビーフェンスを両手でつかんでつかまり立ちをしていた男児が、保育士がフェンスから手を離した直後に右側に転倒し、保育マットが敷かれた床に頭の右側を打ったという事故です。

 約1年前の事故ですが、受診後は入院し医療機関でリハビリを受けて退院したけれど、今でも治療を続けているとのこと。今なお症状に苦しんでいる現状を見ると、二度と繰り返してはならない事故だと感じます。今後繰り返さないために何ができるのか考えていきたいと思います。

目次

保育士の配置基準の実態

 0歳児クラスは12人在籍で、当日の保育士は4人配置でした。 検証委員会の報告では、「園児9人を保育士1人で保育していたこと」や「廊下での保育について、リスク管理が十分ではなかったこと」などを課題として挙げているとのことです。 ここでおそらく多くの人が気になるのは、「0歳児クラスだから法的には大人1人に対して子ども3人では?」ということではないでしょうか。

 現場で保育士をしていた経験からこれまでも訴えてきましたが、保育士の配置基準は「常に子どもを見ている大人の人数」とは限りません。 例えば、一人の子が排便した、転んでしまった、吐き戻してしまったなど、個別の対応が必要になった場合、一時的ではありますが、保育士がその対応に回ることになります。

 例えば1歳児クラス。法的には子ども5人に対して保育士一人です。10人クラスで担任が2人だったとすると、片方の保育士が登降園時の保護者対応、おむつ替えなどの個別の対応をしている間、もう一人の保育士が9人の子どもを見ることになります。
 こうした状況は特別なことではなく、日常の保育の中で常に起きています。今回の「園児9名を保育士1人で保育」という状況は0歳児保育としてはかなり厳しい状況ですが、当時の背景にはやむを得ない事情があった可能性もあります。これを解消したいのであれば、保育士への注意喚起や研修ではなく、常に実態に合わせたゆとりある人員配置を行うことが必要ではないでしょうか。

廊下での保育について

 今回指摘されている廊下での保育についてです。もちろんしない方が良いのは確かですが、それができるだけの環境と人が足りているのかという問題があります。私も0歳児の担任をしたことがありますが、特に0歳児は生活リズムが一人一人違います。事故が起きた時期は7月で、ミルクの時間も離乳食の時間も、睡眠の時間も子どもによってバラバラです。 保育室と食事室や午睡の部屋が分かれていればよいですが、限られた空間の中で、早く目覚めた子がまだ寝ている子を起こさないようにしたり、おやつの準備をしたりするために、一時的に廊下で遊ばせるということは現場ではあることです。 まだ寝ている子がいる部屋で既に起きた子を遊ばせながら布団をたたみ、ほこりが舞う中おやつの準備をする。こういったことを避けるために、当時の保育士なりの配慮や工夫の結果だった可能性もあります。廊下での保育を一概に否定するのではなく、なぜその選択をせざるを得なかったのかという背景を見る必要があります。

 根本的な改善をするためには、他のクラスと共有でもよいから空き教室を確保するとか、一人当たりの面積を増やして部屋を分割して使えるようにする、その上で保育士を増やすといった物理的な対応が必要です。環境や人員を増やさないまま、安全管理や意識の持ち方だけに改善策を求めることには違和感を覚えます。

おわりに

保育士不足が叫ばれて久しいですが、現場の働く環境は本当に向上したのでしょうか。 事故を繰り返さないようにするためには、個人の注意や意識改革だけでは限界があります。保育士が安心して働き続けられる環境を整えること、そして何より子どもたちの安全と保護者の安心を守るために、引き続き保育環境の改善を求めていきたいと思います。

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